朝、授業に向かおうと家を出て、目の前の通りを渡るためにふにょっと立っていたら、
“道を渡りたいけど車が怖くて渡れない”挙動不審に陥ってるリスが隣で前後左右に
びよびよジャンプしていました。手を取って一緒に渡ってあげたかった。
さて。
自分のアスリートとしてのキャリアから、
先学期Footballのシーズンの経験から、
そしてこの間アルバカーキの優勝を目の当たりにして、改めて思うことがあります。
Athletic Trainerは、勝つためにいる。
こう思ってないトレーナーの方もいらっしゃると思います。何を大事とするかは人それぞれだから、別にそれが間違っているというつもりは全く無いことご理解下さい。
誰も説得するつもりはありません。ただ、自分がつくづくと思うことなのです。
でも、私がこういうのは幾つかの理由があります。
チームは、勝つことを目標としています。
コーチは勝つために戦略を考え、練習を組み立て、
選手は、勝つために毎日練習を全力を尽くして頑張っています。
(という前提で話をさせてください)
ここでチームの一員であるトレーナーが“勝つこと”を意識していなかったら、
それはチームとして勝利に向かって完全に機能していないことになると思うのです。
結果より経過が大事、という言葉があります。
でも私自身が選手だったとき、こんな言葉に絶対頼るものかと思っていました。
勝つために努力を重ねているのに、結局大事な試合で勝てなかったら、
それは単純に努力が足りなかった、もしくは努力の方向と角度が正しくなかった、
ということの証明でしかないと思うのです。勝てなかったけど頑張った、っていう言葉は、
現役時代、負けを丸く収めるための綺麗ごとにしか聞こえませんでした。
勝つことが目標ならば、それは勝たなければ、今までの努力もやっぱり意味が無いのです。
厳しいけれどそれがスポーツの現実だと思うのです。
白黒がこの上なくハッキリしている、こんな世界ですから。
でも実際、今まで、負けて納得できた試合なんて一度もありません。
(だからこそ、今、色んなスポーツに触れてみて、勝てるチームには心底尊敬の念を抱きます。
多くのチームが優勝というひとつの星を目指して努力する中、そこに辿りつけるのはほんの
一握りだということを、スポーツにずっと関わってきた私は知っているつもりです。
先の発言と矛盾するけれど、本当に切なくなるほどの努力を重ねてもその栄光を
手に出来ないチームは沢山います。努力が報われないチームも沢山あるのです。
だからこそ、努力に結果がついてくる、これは最高のことなのです)
負けから学ぶことは沢山ある、とも人は言います。
そしてそれは事実だと思います。
どうしてか?
人は、負けたとき、“何故負けたか”を考えるからです。
でもじゃあ、勝ちから学べることは無いのでしょうか?私はそうは思いません。
それどころか、勝ちから学ぶことのほうが多いとすら思うのです。
でも、勝った試合を振り返って何故勝てたかを分析する人間はそう多くありません。
勝ったチームはすぐに次の試合に目を向けたり、優勝という名の勝利に浸ったりで、
勝った試合を振り返るのに時間を費やさないからです。
もし何故勝てたかにちゃんと目を向けられるとしたら、絶対に勝ち試合のほうが
多くを学べると思う。だから、勝つに越したことは無いのです。
チームが本当に勝とうと思うからこそ、選手を常にベストの状態でプレーできる必要がある。
より選手を長い時間、フィールドやコートにstayさせる必要がある。
その為には効果的なリハビリ・怪我の治療はもとより、怪我の予防が大きな鍵となってきます。
医療の世界のトップに立つのは医者ですが、彼らには怪我の予防は出来ません。
なぜなら人は、何かが起こってからでないと医者へ行かないからです。
でも、トレーナーは違う。選手と毎日顔を合わせ、毎日話をする存在です。
怪我の前触れとなるシグナルに気づける人間。それがトレーナーなのです。
だからこそ、この予防が可能になってくる。
本気で勝ちを目指すからこそ、この特殊な能力を備えたトレーナーが必要になってくるのです。
選手時代から、私はこんな風に考えていました。トレーナーを目指す今でも、同じです。
とは言え、自分が選手でないのは事実だから、
やっぱり、選手時代とは多少スタンスは違いますけどね。
自分が選手だった頃は厳しい現実を敢えて自分に課して、逃げ道が無いようにしていたけれど、
今、負けたチーム、選手に対して、“努力が足りなかったんでしょ”と思うことはありません。
彼らの経過、努力してきている様を、毎日見てますからし、チーム愛しちゃってますからね。
結果が全てとは、彼らに対しては思いません。
でも、勝ちを大事に思う気持ちは一緒。
選手の勝ちたいと思う気持ち、痛いほどに感じたことが今まで多々あります。
それに感心している場合ではないのです。
私たちトレーナーだって、そのくらい勝ちを欲していないと。貪欲でないと。
だってチームは勝つために居て、私たちはそのチームの一員なのだから。
私は、勝つことの楽しさを忘れないトレーナーでいたい。
それでこそ、チームという名の、勝利に向けた船に乗り込む一員であると思う。
負けたらだって楽しくないんです。勝つから楽しいんです。楽しい思いはいっぱいしたい。
たとえ一握りしかその栄光に辿りつけないとしても、そこに辿りつけるチームでありたい。
こんなことを、アルバカーキの優勝する姿を見て、それからケニーくんと話してて思いました。
勝つことには、こだわりたいな、やっぱり。