以前、男子バスケットの選手が顎関節脱臼をした話を書きましたが(
11/1&
19)、
今日もそれに程近い接触がありました。ある選手がボールマンに付いてディフェンスしていたら、“相手が俺の手を払おうと振った肘がパーフェクトに顎に入った”のだそう。
頭と耳を抱えてしかめっ面をしていた彼は、頭痛・耳鳴り・顎関節の動きに伴うcontralateralのTMJの痛みを訴えていました。テストをして、少し休ませて様子を見て、“大丈夫、戻れる”という彼をコートに戻したあとで、ぬっきーさんと顎関節についての語り合いがスタート。
N: TMJは難しい。痛くったってプレーできちゃうしね。
S: ですね。直接影響が出るのは食事くらいでしょうからね。
…あ、でも今思うとプレー中に顎を食いしばってる人なんかには、影響が出るのかな?
MJみたいに舌を出してプレーするくらいのほうが、Muscle toneが下がって良いと
聞いたことはありますが…。ここらへんは根拠と自信がないのであまり言及しないでおきます。
N: 脱臼・亜脱臼の疑いがある顎の怪我の評価で、気をつけなきゃいけないことは?
S: Concussionですか?
そんなわけで、話題は
Concussion(脳震盪)へ。
Concussionは脳震盪の名前どおり通り脳みそシェイキングなんですけど、頭を強打するだけじゃなく、顎、鼻、目の周りなど、Facial regionを強打することによっても起こりえます。
その名前の仰々しさから、皆さん頭(ないし顔)をすこーんと打ってパッタリ倒れる姿を想像するかもしれませんが、Arnheimにあるとおり、“In the athletic population, the majority of concussions do not involve loss of consciousness(p.885)、”なんですね。
さて、それじゃあ、脳震盪にはどんな種類があって、それがどうプレーに影響してくるのでしょう?
ConcussionのSeverity GradingやClassificationは、様々なscaleがあります。
中でも教科書のトップに出てくるのが、
Glasgow Coma Scale。
motor response, verbal response, eye openingの程度を点数に代え、
3-15のスケールに表すもの。7点以下だとcoma。
ただ、このscaleは本当にsevereなconcussionのassessment向きで、
それこそ交通事故や転落事故や、そういったものをターゲットにしていると言ったほうが正しく、
前述したようにcomaが稀な、スポーツで起こるconcussionには適しているとは言い難いもの。
もっとless severeなconcussionを、より細かいスケールで細かくgradingするためには、
それ以外のscaleたちのほうが頻繁に用いられます。本当に沢山の計り方があるのですが、
Big Threeと呼ばれる3つをまず紹介したいと思います。
1.
Cantu Guideline by Robert C. Cantu, M.D.
・proposed in 1986, revised in 2001
・emphasize on PTA and Post-concussion signs & sx's over LOC
・most well-known
・more conservative than other guidelines
2.
Colorado Medical Society Guideline
・proposed in 1991
・emphasize on PTA and LOC over Post-concussion signs & sx's
・endorsed by NCAA
3.
American Academy of Neurology Guideline led by James Kelly, M.D.
・proposed in 1997
・emphasize on PTA and LOC over Post-concussion signs & sx's
・thus very similar to Colorado, but slightly less conservative about RTP
これらの3つのGuidelinesのそれぞれのGradingの違いを、以下の表にまとめてみました。
※PTA…Posttraumatic amnesia
LOC…Loss of consciousness
RTP…Return to play
この3つは偶然にも全てGrade1~3の分類ですが、
0~5の数字を割り振るもの、1~4のもの、1~6のもの、様々です。
Univ. of NC, Jordan, Nelson, Kulund, Ommaya & Gennarelli, Ommaya,
Torg, Wilberger & Maroon, Hugenholtz & Richard, Roberts, Saal etc etc...
名前を挙げてみるだけでも14を越すGrading systemがあります。それぞれの名前と程度の定義を覚えるのはとてもできそうにないので、とりあえず大事な3つだけrecognizeできるようになっておけばいいかなと思うんですが、それじゃあBOCには甘いかなぁ…。
Basicなところを紹介しただけですが、随分長くなってしまったので、続きはまた明日!
(表を作るのに思いのほか時間がかかったというのは内緒です)
とりあえず、“もうすこし強く入っていたら、折れてたかも知れないよー”と言ってた彼、
そんなにひどいわけじゃなさそうで、良かった!