今日も無事に腕神経叢についてのレクチャーが終わりました。
前回の3倍くらいの時間をもらえましたし、そのぶん、より面白いと思ってもらえる内容に
なってればいいなぁと思います。うーん、どうだったかな。
今日のクリニックでは、ACL断裂に関する面白い話を聞きました。
Jimは実は昔ACLを断裂したらしく(手術せずにそのままになっています)、
それ故にtibiaのanterior translationに対する制限が非常に弱くなっています。
なので、Tibialis anteriorを収縮させると十分な支えの無いtibiaが前に引っ張られ、
すこんと前に出るのが確認できます。ひえって感じです。
で、よくACL断裂しても、手術せずに筋肉強化してそれを処置とする人がいます。
これは確かに、関節を支えるのに十分なほどの強さが筋肉にあれば安定性が出るので、
本当にそれで日常生活は事足りたりするんです。運動選手とかでなく一般的な人は特に。
こういった話はよく耳にするかと思いますが、
でもこのとき、どの筋肉を鍛えたらいいか、ということを皆さん考えたことありますか?
私は漠然とVMOかと思っていました。ヒザと言えばVMO、という単純な発想からです(笑)
これが、実際は
Hamstringと
Soleusらしいのです。
Soleus? Gascrocの間違いじゃなくて?と思ったのですが、Soleusが正しいらしいのです。
私は、“Gastrocならknee jointをgo overしているし、膝関節に安定性をもたらす
のであればこれは必要不可欠だろう。Hamも同じ理由で必要なのだろう、”
と思っていましたが、実は全然違うのです。
HamとSoleusの共通点は、
Tibiaにattachしているという点。なので、これらの
筋肉収縮時に、Closed Kineticではどちらの筋肉もtibiaをposteriorly translateします。
つまり、ACL同様tibiaのanterior translationを防ぐ機能があるということになり、
これらの筋肉を鍛えると、失ったACL分のサポートを取り戻すことができるというわけです。
ちなみに、Jimが、Anterior tib⇔Hamを順番に収縮させると、
tibiaがかくっかくっと前に後ろにずれて恐ろしかったです。
ででで。夜は第2班と共に来てくれた助手・ももさん(♂)とお話していたのですが、
この方がまたすごいんです。日本でアメフトを経験されていた方で、今まで頚椎のヘルニア、
腰椎のヘルニア、ACL断裂、半月版損傷など書ききれないほどの怪我をされてきたのですが、
信じられないエピソード満載なのです。
■Episode 1:半月版&ACL損傷後、半月版のカケラが関節をrockしだしてROMを制限
するようになってしまい、急遽ACL再建と共にそのカケラを取り出す手術をすることになった。
が、それから一週間後の手術直前までに、そのカケラはおろか外側半月版の後方の一部を
残して全てが溶けてしまった。普通、損傷した半月版が身体に吸収されるまでは1年かかる
らしいが、ももさん曰く“なんだかMacrophageが全部食べちゃったみたいです。”
普通1年のところを一週間!どれだけ食いしん坊なMacrophageなんですか。
■Episode 2:椎間板ヘルニアは効果的な治療法はなかなか無い扱いが難しい疾患ですが、
ももさんは頚椎も腰椎のも、またもMacrophageでむしゃむしゃ食べて、
ほぼ完璧に近いくらい治っちゃったそうです。
←Macrophageというのは、身体の中の死んだ組織や、
身体に入ってくる微生物などをぱくぱく食べる細胞のこと。
つまり、ももさんの場合はこのMacrophageの活動が異様なまでに
活発なため、身体が害とみなしたものをとにかくぱくぱく食べて
無くしてしまう機能が人の何倍も高いみたいです。
こんなことってあるんですね!すごいです。
その回復力の高さの秘訣は、体の中でも外でもいっぱい食べちゃうよ!という
ももさんのモットーにあるのかも知れません。